中学校の部

  夜空が教えてくれたこと
	        南国市立鳶ヶ池中学校
                 三年 竹 田 きらら 

 私は夜が大好きだ。人通りが少ないかわりに、森が見守ってくれている登下校の道。部活が終わり、その道を通る時はいつも空は暗く、太陽も仕事を終えている。そんな夜、危ないことなんか忘れて、自転車に乗ったまま空を見上げた。空には多くの星がこの夜を待っていたかのように輝いていた。特に興味もないのに、その日はなぜかとても感動した。
 庭に自転車を止めてすぐに家の中にかけこんだ。寝ている兄を起こして
「ねぇ!星めっちゃきれいで!。」
何事かのように驚いてとび起きた兄は、上着を着て一緒に外に出てくれた。でも建物のせいでよく見えない。すると兄は
「ここからじゃ見えんき、散歩するかえ。」
とても嬉しかった。寒い冬の夜だったが、二人並んで歩いた。歩いていくうちに星が見えやすくなって立ち止まった。
「あれ、何座?。」
「知らん。」
そんな会話。全く知識もないのにただ見ているだけで心が弾んだ。
 兄が急に何年も前のまだ小学生だった頃、同級生達と行った室戸合宿の話を始めた。
「他のことはなんちゃー憶えてないのに、夜寝ころんでひたすら星見よったのは憶えちゅう。」
私は突然、これが自然の力なんだという考えが頭に浮かんだ。
 今、私達は便利な機械や場所に囲まれ、恵まれた環境で暮らしている。でも私の通学路には森の入り口が見えるところもある。たまたま森ばかりだったから空がよく見えて、星を見ることができた。森林が作る、きれいな空気を吸いながら、木が揺れ、葉がこすれ合う音を聞きながら、夜空を見上げた何気ない私の行動がその冬の一番の思い出になった。
 兄や私のように、知識のない人も、ある日ふと見上げた夜空がとても輝いていることに感動するだろう。何十年に一度の日食の日じゃなくて、本当に普通の日。森林が隣にいることで輝く夜空に出会えた。
 何気ない私の一日におつかれさまと言ってくれるあの道を今日も私は通って帰る。あの道がずーっとあの道であるために、夜空がいつまでも輝きを失わないために、私達には何ができるだろう。もし、この世に森林がなければ、あの日の感動は味わえなかっただろう。空の輝きに出会えなかっただろう。今の私達の生活は、その事態を巻き起こしかねない。だからこそ、森林と共に生き、環境を守り抜くことが、私達とあの空をつなぐ唯一の方法なのだと思う。
 輝く空に出会うために、これからも森林を守っていきたい。