SANちゃん・RINちゃん新聞                    −44号−

ル−ペで観察しながらの説明

甫喜ケ峰森林公園で今年も、毎年恒例の植物観察会と植物保護についてのお話が4月7日に行われました。
午前中は園内の春の植物を観察し、午後から稀少植物の保護についてお話を聞きながら、自然を守る事について考えました。

春のテ−マは、「すみれ」です。講師は、おなじみの鴻上先生でした。
鴻上先生は、長年牧野植物園にお勤めされ、退職後は県内で幅広く活動されている植物研究家です。

スミレの種類や見分け方について、鴻上先生からお話をお聞きした後で、園内のスミレや春の植物観察に出かけました。
この日は、晴れてはいましたが、時折時雨れて、風のある肌寒い日でしたが、参加者全員で春の自然を満喫しました。

この日、テレビ高知の「がんばれ高知!!eco応援団」の取材が来ていました。(放送は5月5日(日)です)

(左から)畠山さん、三宅さん、北川さん

「どんな風にみえるかな?」

午後からは、近年の乱獲や、開発により絶滅危惧種が増えてきているというお話や植物保護について鴻上先生から、お話をお伺いしました。
高知県では特にランの乱獲がひどいと言うお話でした。ランは採られたら、その種はお終いと言う事でした。鹿の食害も年々増加しているということです。
なぜ、今保全が必要かという事を鴻上先生はお話されていました。自然を未来に残すためにどうすべきかなどデ−タを見ながらお話をして下さいました。
一つの例として、近年数を減らしているサクラソウを保存するために囲い込んだ所、少しも増えなかったというお話がありました。サクラソウを保存した場所はコンクリ−トに囲まれた所だったため、蜜を採って受粉を助けるトラマルハナバチが来なくなったからだそうです。植物も、樹木も単体では存続できない、菌との共生だったり、他の動物との共存だったりが重要だなど、貴重がお話があり、参加者も熱心に聞き入っていました。

鴻上先生に植物の事をお聞きしながらの植物観察は、とても楽しいです。
今回は小学生の男の子と女の子も参加して、とても熱心に観察していました。
女の子は、「今、虫ぎらいを克服中」と言っていました。
ヒカゲツツジも、満開でみんな満足していました。
この日、甫喜ではスミレやヒカゲツヅシの他に、ハルリンドウ、ハナイカダ、キランソウ、たんぽぽ、イカリソウ、ミツバツツジ(少しだけ)など,春の観察会にふさわしい植物を見る事が出来ました。

ハナイカダ

今年は、桜の花の開花も散るのも早いばかりか、5月の連休頃に見頃を迎えるはずのヒカゲツツジがもう満開を過ぎようとしていると言う事で、早すぎる春を惜しみつつの散策になりました。

ヒカゲツツジ

スミレは、毎年同じ場所には、咲きません。スミレの種をアリが運ぶ為、アリの巣の周りにスミレが咲くためということらしいです。
甫喜ヶ峰でも昨年は、キャンプ場脇のトイレ周辺に多く見られたアリアケスミレも、今年は、その場所では、あまり見かけませんでした。アリ達は今年は、どこに運んだのでしょうか?

甫喜ヶ峰森林公園で見られるスミレの種類は、地上茎のあるスミレのある仲間では、ニョイスミレ、タチツボスミレ等があります。又地上茎のないスミレの仲間では、アリアケスミレ、シハイスミレなどがあります。

甫喜ケ峰森林公園だけに限らず、稀少植物が採られる事が多くなってきているようです。
今回の鴻上先生のお話をお聞きして、個人の楽しみは園芸種を愛でる事で満足し、自然にある物はみんなで守っていくと言う気持ちを持って未来に多くの自然を残す様に努力する事が今を生きる全ての人の使命だと思いました。
今回、植物観察会と、植物保護のお話に参加して下さった皆さんに、甫喜の自然を守る一員になって下さいと、甫喜のスタッフからお願いして、この日は終了となりました。

キランソウ

ハルリンドウ

これから、甫喜ケ峰森林公園は、新緑の季節を迎えます。緑の風の吹く公園を散策するのは、いかがでしょうか。
又、植物観察会は夏の部、秋の部と続きます。専門家の先生のお話を聞きながらの観察会は、とても貴重な経験になると思いますので、是非、四季折々の自然を楽しみながらの観察会にお出かけ下さい。