11月3日、抽選で選ばれた22名の当選者の内16名の方が曇天にも係わらず朝早くから高知駅に集合して下さいました。
今回は、2年ぶりに物部川の流域を訪ねて、物部町中尾谷での植樹体験などを行いました。

小松副会長より、中尾谷での治山工事についてや、近年の地球温暖化の影響による豪雨災害を防ぐためにも災害復旧の為の治山工事が必要な事、手入れの進まない高知の山を放置しておく事の問題点などを話しました。
そして、今日は、高知の山奥を見て頂き治山・林道の大切さを感じ取って頂きたいそして有意義に一日を過ごしてくださいと挨拶し、高知駅バスタ−ミナルを出発しました。

間伐する事によって健全な山にし、国土の保全等の役割をします。

林業事務所の二宮技師も手伝ってくださいました

斜面での植樹になりましたが、全員一生懸命植えていました。7才の男の子も石があって固い地面をツルハシで懸命に掘っていました。
「出来れば何本か植樹したい」という方もいました。
自分の植えた木がどの当たりだったか、目安をつけて何年後かに見に来たいという方もいました。
今まで、沢山の方に植樹をして頂きました。その成果が出て早く元通り緑豊かな山にもどるといいと思います。

手書きのイラスト

昼食後、バスは香北町萩野の作業道「アカリド線」に向かいました。
アカリド線は、香美森林組合が施工管理している森林・林業再生プラン実践事業による基幹作業道です。

物部町中尾谷に到着した時は、真っ白い霧に覆われていましたが、現地説明の時は徐々に霧も薄らいで行きました。心配していた雨もなんとか降らずに植樹体験を行う事が出来ました。
まず、到着後に高知県中央東林業事務所、岩原課長より治山・林道事業の重要性について説明があり、現場説明を森永チ−フより受けました。

大型機械での間伐材の搬出が出来る様に道幅3.5mで設計されています。
アカリド線は間伐も進み、数多く設置された簡易横断溝のおかげで路面も比較的きれいに保たれていました。

岩原課長からは、「治山は、山を元にもどす事が第一の仕事なので、今日の植樹は早く山を元の姿に戻すための手助けになります」という締めくくりの挨拶の後植樹体験を行いました。

今回植樹した木は、ヤマザクラとイロハモミジです。それにシカの食害を防ぐためにシカネットを被せました。
シカネットのおかげで今まで植樹した木は順調に育っていました。

よく見ると、香北町では川が道路よりずっと下になっているのが、わかります。
参加者の方々は、「はじめて知った、おもしろい」など、興味を持ったようでした。

説明を聞きながら作業道を歩きました

被災直後山腹崩壊の写真です

全てのスケジュ−ルを無事終了し、熊瀬常務から「参加者の皆様のおかげ怪我もなく無事終了する事が出来ました。朝バスに乗った時より、治山・林道への関心が少しでも深まっていたら幸いです。来年以降も続ける予定ですので、よろしくお願いします。」と挨拶をし閉会となりました。

スタッフの行いのせいでお天気が悪いのかと心配しましたが、どうやら行いが悪い事はなく、雨もなんとか持ちました。
次回は、晴天に恵まれる事を期待して、来年又お会いしましょう!!

長澤専門官より、アカリド線のある萩野団地の概略と近年の作業道の役割などについて説明がありました。
又、小笠原部長より木を売ると山主に入るお金は1本当たり1000円ぐらいしかない事を聞いて全員、とても驚いていました。

説明する岩原課長と中央東林業事務所の方々

一行を乗せたバスは、香美市香北町をとおり物部町べふ峡温泉へと向かいました。途中車中から、香北町で見る事が出来る河岸段丘という珍しい地形を見ました。河岸段丘は、川が川底や両岸をけずったり、河原に上流から運ばれてきた石や砂が溜まると平らな面が出来、その平らな面が地殻変動で隆起して地表に残っているものです。

木の植え方を説明する永野チ−ム長

ツア−最後は、山田合同堰の説明でした。
山田堰井筋土地改良区の植野事務局長さんはじめ、スタッフの方から野中兼山が、どのようにして山田堰を作ったのか、現在の山田堰の利用についてお話がありました。
物部川水系は、農業用、水道用として利用されているほかに、上流に3つのダム(永瀬ダム、吉野ダム、杉田ダム)、二つの取水堰があり電力供給が行われているとの事でした。
又、山のおかげで食を確保出来る事、水を確保出来る事などを考え、先祖から受け継いだものを後生へ引き継ぐ為に森林整備も推し進めているという事でした。
この他にも川干って何?など、イラストを交えて大変分かりやすく説明して下さいました。

作業道を間伐等の説明を聞きながら全員で歩きました。当初の予定では800mを歩く事になっていましたが、みなさん健脚の方が多く、どんどんどんどん作業道を進み、1.2kmくらいを歩いてバスに乗り込みました。
歩きながら、「山の仕事は本当大変やねえ」としみじみおっしゃっていました。作業道の必要な事やまだまだ山の仕事は、厳しい事が分かって頂けたようでした。

数年前の植樹、シカネットがしっかり守っていました

挨拶する小松副会長「事故の無いように気をつけて下さい」

開会式は高知駅バスタ−ミナルで行いました。

中尾谷の崩壊箇所は、幅200m延長230mにも及びました。
森永チ−フから、災害当時は、1日で1年の4分の1の雨が降った事、現場奧には人家が3軒有り生活道への影響も大きく復旧が急がれた事等の説明が有りました。又山腹の下にあった治山施設が崩壊の拡大を防いだ事など治山施設の重要性の説明もありました。